2023年のシーズン、阪神タイガースは全員で力を合わせて日本一を達成することが出来ました。11月23日に大阪と神戸で行われた優勝パレードでも驚くほど多くのファンの方に声をかけていただき、1年間頑張ってきて良かったと思えました。みなさんの声援が自分にとっても凄く力になっていることを日々感じています。
振り返ると、履正社高校での3年間で学んだことは、野球だけではなく人間的にも自分のベースになっていると思います。兵庫県の養父市から進学しましたが寮はなく下宿生活だったので、洗濯など身のまわりの準備から、日々の勉強に練習の両立と、忙しい毎日でした。ただ自分で挑戦すると決めて出て行ったのだから、それくらいのことでしんどいとは言っていられませんでした。野球自体も軟式から硬式に代わり、高校野球で通用する身体を作るために、在学中に体重は10㎏以上大きくなりました。自分の目標を達成するために少しずつ環境に適応していく中で、岡田先生(前監督)や担任の多田先生(現監督)には、一人の人間としても社会人としても世の中に出て恥ずかしくないよう普段から指導していただきましたし、履正社は学校も野球部もそういう面が強かったと思います。
印象に残っているのはクラスの仲が良かったことですね。色んなクラブがある中で分け隔てなくワイワイやって楽しかったですし、田舎から出て行った僕もみんなに仲良くしてもらって嬉しかったです。野球だけじゃなく、同じクラスの友だちとか、仲間とか、先生たちと同じ時間を共有して、みんなで「ああだこうだ」言いながらやっているっていう、その何とも言えない空間、時間が、今にして思えばすごく財産になっているし、野球や勉強だけじゃない、一番大事なことを経験させてもらったと僕は感じています。そんな中で野球ができる環境そのものが、自分を成長させてくれました。
当たり前のレベルの上下関係はありましたが、圧力を感じることは全くなかったですし、野球部のスタイルとしても、1年生であっても実戦、試合でどんどん出ていく。「同じ力であれば下級生から使ってチームの底上げをしていく」と岡田先生も僕らの前や父母の前で仰っていたので、どの学年でもどの選手でも評価してもらえる環境は有難かったですね。だからこそ、一人で出て行っても頑張ればできるんだという思いと、もっと頑張らないといけないという思いと、どちらも持ちながらやっていました。
「その時」に自信を持ってやれる準備を。
僕には、高校時代から今にいたるまで続けている習慣があります。「野球ノート」をつけることです。自分で感じたり自分がこうしたいと思ったりしたことを、自分なりに落とし込むことで、何かあった時に思い出して復習できるようにしています。書いたことは全部自分に返ってくる。そういう感覚で書いていますね。野球をやっている以上はいつまでも成長したいので、色々なことを考えて、色々なことに疑問を持って、自分なりにまず解決策を出す必要があります。それが合っているかどうかは、やってみないと分かりませんが、自分なりにかみ砕くということを今も変わらずにやっています。
野球においても、何においても、結果は出ていないと分からないところはあると思いますが、良い結果を出したいと思ったら、そのために何ができるか、そこまでに自分がどういうことをして、どういう準備をして、どんな風に振舞って、どんなことをやってきたかということが、すごく大事だと思っています。そこしか、当事者にはできることは無いと思うので。そこにフォーカスして。後はもう、いざ「その時」になったら緊張もすると思いますし、でも緊張は絶対良い思いをしたいと思わないとしないものなので、緊張を良いものと感じながら、その時に自信を持ってやれるだけの準備が自分の中でできた、という感覚を持てたら良いんじゃないかなと思います。
また、これまで色々な人の話を聞いたり、色んな勉強をしたりしてきた中で、自分が思い描いたり、自分が想像できたりする範囲内までしか届かないことを学んできました。もし今、夢が無い人がいるとしても、こうなりたいとか、こうやってみたい、こうしたいという小さな思いを、できるだけ大きく、高く設定して、そうなるためにはどういう風にしたらいいかとか、どういうことが必要かということを常に考えていけば、そこに近づいていくはずです。成長するために、目標設定を高く持つ。これが僕の考え方です。