01 履正社の人 −RISEISHA 100 Stories

夢や目標がある人ほど、
それを叶えられる学校でした。

中村秀香さん

読売テレビ アナウンサー

2013年 履正社高等学校卒業

  高校時代の思い出としてまず頭に思い浮かぶのは、食堂の光景です 。

 進学とスポーツ、あるいは文系と理系でクラスが分かれている中で、食堂はみんなが一緒にいられる空間でした。あそこで広がった友人関係の輪もありますし、楽しかったですね。特に女子生徒は、クラスの垣根を越えて仲が良かったと思います。休み時間に食堂の売店でポテから(ポテトとから揚げのセット)を買って食べるのは、貴重な息抜きでした。

 もう一つ、思い出されるのは高校野球の応援です。在学中、何度か甲子園のアルプススタンドに応援に行きましたが、今にして思えば、あれは本当に貴重な経験だったんだなって。自分の学校が甲子園に出場すること自体がすごいこと。あの頃、野球のことをもっと勉強しておけばよかったと思います。

 スポーツでも進学でもそうですが、履正社高校は、頑張ることを馬鹿にする人がいない学校でした。目標に向かって努力することが当たり前で、努力する人がカッコいい。そういう環境だから、自分もモチベーションが上がるし、友達と励ましあって頑張れる。夢や目標がある人ほど、それを叶えられる学校だと思います。そしてあれだけ頑張ったんだから、将来、多少のことがあってもへこたれない。そんな人が多いんじゃないでしょうか。私がそうでした。

 私は中学生まではそんなに規則正しいタイプではなかったんですが、履正社に入って、勉強するリズムやルールを守るリズムを身につけられた気がします。名物の早朝テストも、やっている時は大変でしたが、すごく力になったなって思いますね。大学受験の時は楽でしたし、コツコツ積み重ねることの強みを感じました。実際、塾に通わずに大学に合格したので親も喜んでいました(笑)。それに、今も朝早く起きるのが苦にならないのは、あのルーティーンを守り通した経験があるからかもしれません。


駅伝のタスキをつなぐように

 好きな授業は英語でした。小さい頃から英語の絵本を読んだりしていたので、大学も英文学科に入りたくて。それと、国語の授業で教科書を朗読したりするのも好きでした。だからナレーションにも興味がありました。歌を歌うことが楽しいように、声を出すのが楽しくて、好きでした。

 ただ、昔から声を出すことが好きだったということもあって、自分に向いているかどうかわからないけれども、一度テレビ局のインターンシップに参加してみようと。そしてスタジオで本物のニュース原稿を読んだり、フリートークをしたり、実践的な内容を経験しているうちに、「楽しい!」と、アナウンサーという仕事に魅了を感じ、どんどん惹かれていきました。

 この仕事に就いてみて、大切にしていかなければならないと感じるのは「言葉の重み」についてです。正しい情報を伝えることは、簡単に見えて難しい。100点! と胸を張って言える仕事は一つもありません。アナウンサーは、「一番最後を託される人」。「アンカー」とも表現されますよね。様々な部署が一生懸命企画を立ち上げ、取材をして、編集して、最後にそれをアナウンサーが読んで伝える。駅伝のタスキをつなぐように、そこまで携わってきたスタッフさんたちの努力や思いを汲み取って、最後に伝える。失敗できないって思いますし、責任重大です。その反面、最後までやり切ったときには達成感を感じることができます。

 今後は、より説得力のあるアナウンサーになりたいです。やはり知識がものをいう部分もあると思うので、様々なジャンルにアンテナを張り、毎日コツコツ勉強です。それは高校時代もこれからも、一緒かもしれませんね。

Profile

中村秀香さん

Hideka Nakamura

1995年、大阪府生まれ。2013年に履正社高校を卒業し、神戸女学院大学文学部英文学科を経て、2017年読売テレビに入社。現在は『朝生ワイド す・またん!』でキャスターを務めるほか、『あさパラ!』などでナレーターも担当。特技は小学校から続けているピアノ